冷や汗が身体を伝うのが分かる。信じがたいが、慎の話が嘘だと誰が証明出来るだろう…?

いや、誰も出来ないのだ。紡がれる言葉に偽りがないという事は、言霊師であれば目にも明らかな事。

出会い方こそ最悪だったが、夢芽とも打ち解けた。ずっと共に行動していれば、利益や目的で繋がっている事など、最早関係なくなっていった。それなのに…
それなのに、ずっと縛られ続けている事を知らなかった。


「そんな…それじゃあ勇次は、一生お前に従うしかないのか!?」


「いや、心配は要らない。貴様らを始末させたらすぐに送ってやろう。…バス停でしくじった輩と同じように、な。」


「まさか、さっきの遣い達を…」


「あぁ、綺麗に砕け散ったようだが…見なかったのか。
見映えする最期にしてやったのだから、感謝して欲しいくらいだ。
…さて、彼はどんな散り際が良いか…どうせ貴様は見る事が叶わないのだ。好きにさせてもらおう。」


―――壊れている。


本気でそう感じたのは初めてだった。