やはりヒョウリは気が短いようで、直接捜しに行こうと腰を浮かせる。だが服の裾を引かれ、ハッとしたように隣を見た。
本当のムメならば見せないような不安げな表情を晒す式神に、分かってる、と一言だけ告げ腰を下ろすが、全く落ち着かないでキョロキョロしている。

すると、それを見兼ねたのか、ふわりと手を握られた。そっと包むだけの両手に体温はないのに、暖かく感じられ、心が落ち着く。


「…性格まで本物に似ないで良かったよ。」


冗談めいた本音を呟く。
笑ってくれるだろう。そう思って顔を伺い見ると、彼女は表情を強張らせていた。

その視線の先には、言霊―――『捜』の姿があったのだ。

一緒にいるはずの勇次は何処にもいない。


「勇次は…?」


言霊に罪はないので、ヒョウリは優しく尋ねた。だが『捜』は、伸ばされた手に触れる前に逃げるようにパチンと弾けてしまった。