「そんな事、聞くだけ無粋というものでしょう?
僕は、言霊師ですよ。

―――ただ、言霊を視さえすれば。」


わざと目の前まで寄り、冷たい瞳を和らげてそう告げたヒョウリを前にし、自分では絶対に敵わないと思った勇次は、肩を落とした。


「…普通の言霊師にさえ勝てないんだ…特殊な奴になんか、勝てるわけないよな。」


「誰に勝ちたいんですか?」


「お前には関係ないけど、どうせ俺には、当たって砕けるか、当たらないで殺られるかしかないんだ。教えてやるよ。」


標的の名が告げられ、それが言霊になったのを確認したかしないかの速さで

ヒョウリは勇次を殴り飛ばしていた。