―――その青年は、自分を訝しげに見ている少女に声をかけた。『私を見ていて、面白いか』と。
…確かに、ある意味では面白かったのだ。
高い位置で結っているのに、まだそれでも腰まで届きそうな髪。それが、金色に光っていたから。


『聞こえなかったのか?』


そう言って、その青年は険しい顔で少女に近付いていった。ただジッと見つめられた事に腹が立ったのではなく始めから既に機嫌が悪かったのだが、そんな事を知らない少女は、自分が怒らせたと思って頭を下げて謝った。


『ごめんなさいッ!あ…あのッ…髪が、その…外人さんかと思って…。でも、日本語話したからビックリして…』