「一言主様…?」 試すかのように小さく発した言葉は言霊になり、その男性の元へ駆けていく。 「…ん?―――あぁ、何だ。誰かと思ったよ。」 ぶつかる手前で言霊を捕えたその人は、掌に乗せた自分の名を握り締め、ゆっくり振り向く。 「随分急いだんだな。私よりもヒョウリの方が良かったか?」 「…どうして?」 顔を真っ赤にしているムメは、真正面まで来た男性―――一言主を見つめた。 彼の手の中にいる言霊と同じように、ムメの心も彼に捕まってしまっていた。