ものすごいおとがしたかと思うと、こんどは慧がガシャっと音をたてて立ち上がり、
しばらく虚ろな目で空を見つめるとはっとしたように俺を見てこういった。
「その三人の場所。俺わかるぞ。おそらく…だがな」
……………。
「はぁぁぁあ??!!」
なかなか言っている意味が理解できず立ち尽くす俺の手をとると、慧は庭への入口まで引っ張っていく。
まえにもこんなことなかったか?
まさか、
そんな、
嘘だろ?
今そこには、
九鬼島しか
いないんじゃないのか…?
慧。
九鬼島があいつらと一緒に?
勝手かもしれないが、
裏切られたような気分に、俺の足は動かなくなってしまった。
何してんだ、授業サボりを叱りにいくんだろ?
ほら、慧が不思議そうな目でみてる。
…なんで、あいつらが九鬼島と一緒に?
「ぃ……おい!孝明。…どうした。」
「…俺…。いや、…慧、お前行ってきてくれないか?」
困ったように頼む俺に慧は豆鉄砲をくらったような顔をしたが、すぐにもとにもどる。
「お前らしくないな。俺も詳しいことはよく知らない。でも、悩むより直接聞いたほうが早い。そうだろ?
…九鬼島を信じてやれ。あいつはお前が困るようなことはしない。(たぶんどうせたいした理由じゃない。」
慧が笑った。
もっともな意見だ。
馬鹿だな、俺は。
「そうだな、慧。ありがとう」
自分の阿保さかげんに苦笑しかこぼれなかったけど。
すかっとした気分だった。
お前にはなんでもおみとおしだな、慧。

