しかも、たどり着くには塀をつたい木々を乗り越え、行き止まりかとも思える場所をすりぬける必要がある。

誰にも気付かれない絶好の隠れ家だ。


「自分の悪知恵に感心してるうちについてしまったよ…」

つたってきた塀から飛び降り、ひとつ伸びをしてからあたりを見渡した。

なかなか良いところだ。

日当たりが良く、木々が生い茂っているため木陰もある。

改良すればまさに住めば都だ。


しかし…


気になるのはこのドア。

この25平方メートルほどのスペースへの入口かとでも言うようにうまい具合に付いている。

まあ、使う者はいないだろうからそんなに警戒する必要もないのだろうが。



それにしても、ここにあるには勿体ないくらいの桜の木。

雲のたなびく真っ青な空。
ここはとても心地良い。