まったく、かなわねぇな。

「…はぁ、わかったよ。本当はちょっと疲れてる。」

俺が観念して正直に?白状するとふっと表情を緩めた九鬼島は

「ふむ、よろしい。…それで良いのですよ…。もっともっと頼ったっていいじゃないですか。」

といって自分のかばんの中からチョコレートやらなんやらを出して俺に渡した。

「それをお前がいうか…。」

「まぁまぁ、とにかくです。疲れたときは糖分が一番でしょう。」



こいつと一緒にいると訳のわからない安心感を覚える。

根拠のない自信に不覚にもはげまされている俺はもう末期かもしれない。



「じゃぁ、これで自分は。ゆっくり休んでください。くれぐれも無理はしないように。」



俺に念を押してから、たちあがって出口へ向かっていく九鬼島の背中に、俺は無意識に声をかけていた。

「なんだよ。そこまで言っておいて、いてくれないのか。」

「…」

って何言ってんだ俺!すげぇびっくりした顔してんじゃねぇか。

「い、いや…今の、なし。なしの方向で!」


「い…いや、です。…自分がいたら休めないかと思いまして、でも。ご迷惑でないならいつまででも。」

次の瞬間ものすごく嬉しそうな顔で笑った九鬼島に柄でもなく顔に熱が集まった。