とりあえずソファに座らせ、保冷材にタオルを巻いて九鬼島のおでこに宛がう。


こんな保険医らしいことしたのは久しぶりだな、と、どうでもいいことが頭に浮かんだ。


半ばこいつのことで頭を痛めているというのに、不思議と今の俺は落ち着いている。








「悪かったな。…で、どうしたあんなところで」


九鬼島がそっと自分でタオルを押さえたのを確認して俺は手を離す。


一向にしゃべる気配のない九鬼島に、もとから可笑しな脳内に障害でも残してしまったのかと一瞬心配になった。
(失礼(笑)

「今すごく失礼なこと考えませんでしたか。なんというか、申し訳なさのかけらも感じませんね。」

「おぉ、復活したか。……気のせいだろ。」

「なんですか最後の間は。自分はちょっと心配だったので訪ねてみただけです。」

あぁ、やっぱりそうなるよな。

「俺はこのとうり、心配されるようなことなんてなにもないぞ。」

「そのようですね、一瞬出るのが遅かったんで倒れているのかと焦りました。」

あぁ、それで連打ね…


「大丈夫だって。悪いな、わざわざ。」



「嘘ですね。九鬼島の目に狂いはありません。お願いですから、無理だけはしないでいただきたい。先生が無理していると、私や弥島先生が心配なんです。」

いろいろと力が抜けてしまう。

その自身はどこから来るのか…。

こいつはどうして自分のことには疎いのに他人のことになるとここまで一生懸命なんだろうか。

ひとつ残念なことは、それが俺だけに向けられるものではないことか。