「ちょっと…まずない?」

「保健医のほう、そーとーキてんぜこれ…。」

「そんなこといったって、今でてっても意味ないでしょ。」


俺らは煉瓦ごしに聞こえる声を頼りに状況の把握を試みていた。


「おい、でもよ。あいつ、全部一人で被るつもりだぜ?」


「…九鬼島ちゃん、すごいやっちゃったって顔してたからね。多分…あの二人を裏切るような形になったこと、凄く悔いてる。凄く…大切にされてるみたいだったからね。」


「もとは…俺らが吹っかけたようなもんなのに、なんでこないなことになんねん…!」

ふに落ちない事態に頭を抱えていると美夜燈が手を突き出した。

「しっ!!…なかの様子がおかしい。」

耳を澄ますと、ぜぇぜぇとあらい息づかいをする音。
瞬間、俺達三人は何も考えず高い煉瓦の塀を駆け上がっていた。