てとてとてと

「いつもどおりよ。こんなの。
 やられる側と、やる側がいる。
 いつも、そんなものじゃない」



 ああ。納得した。
 久坂が言うことは真実だ。



 決して尽きない児童問題。
 年頃の学生生活では、避けては通れない小競り合い。



 目を背けることも。

 目を逸らすことも。

 目を放すこともできない、学生問題。



 やる方が悪いに決まっている。

 追い立てられる側は、心身共に傷ついて、消えない傷跡を負わされる。



 やられる方が悪いに決まっている。

 口を利かず、手を出さず、やられるだけの被害者は、抵抗しないことが罪だという。



 何もしない方が悪いに決まっている。

 見ざる聞かざる言わざる徹底し、起きたことに目を瞑る、犯人よりタチの悪い共犯者。



 いじめという尽きることのない問題は、関わったすべての人を不幸にする。



 その有様は、いつも変わりない。
 どこに行っても、変化がない。



 だから『いつもどおり』。
 変わることがない現実だから、避けられない現実だから。


 それは『いつもどおり』なのだ。



「アンタも同じでしょう?
 生徒会長に歯向かう、ハグレ者さん」



 今まで見てきたものの答え。
 それを、久坂は吐き捨てるように口にした。


 その目は、ビリジアンの瞳は、
 明らかに拒絶していた。



 馴れ合いはごめんだと、
 自分は一人で大丈夫だと、
 そう力強く語っていた。



「……なるほど。確かにな」



 頭に上っていた血は、すっかり下がって平熱まで落ちた。


 彼女がそう言うのなら、無理に口を出すことはない。



 それは『いつもどおり』なのだから。



「なら、好きにするといいよ」



 自分も勝手にさせてもらうから。


 いつだって身勝手に、
 いつだってわがままに、
 そうして痛い目に遭ってきた。


 だから、俺も『いつもどおり』にしよう。


 余計な口は、もう挟まない。