てとてとてと

「へっ、やっぱり女だな!」



 引っ掛けられた。


 調子付いた田沢を、きつく睨み付けた。


 でも、効果はあまりなかった。


 周囲の男子も勢いづき、
 もう誰も、あたしを恐がっていなかった。



 正直に言えば、確かに怖い。



 幼い頃、外見的な特徴で苛めにあった。


 あの痛みは慣れるものではないし、忘れられるものでもない。


 その恐怖が、少しずつ起き上がっていた。


 その上、性的な脅しなんて初めての経験だ。


 未知と既知の恐怖は、
 予想よりも恐ろしかった。



「調子に乗ったところで、所詮は女だな。
 可愛いところもあるじゃねえか」


「黙りなさい盗撮魔。警察に突き出すわよ」


 負けたくない。



 そんな気持ちを奮い起こしても、やはりどこかで怯えていた。


 田沢たちは、怖い怖い、と
 わざとらしく拍子を売った。



 やはり、男は怖い。


 でも、負けたくない。


 生まれ持った負けん気が、苛めの原因になった時もある。


 だけど、こんな逆境で
 泣き叫ばずにいられたのは、
 間違いなく、そのおかげだ。



「わかったら無駄なことは止めなさい。今なら生活指導行きで、勘弁してあげるわ」


「……それも勘弁だな」



 薄気味悪い笑みが、
 ゾッとする物に、変わった。


 思わず一歩下がる。



 ――がばっ!



「なっ――?!」



 すると、いきなり手を押さえ付けられた。


 いつの間にか、
 背後に知らない男子がいた。


 体育会系の部員なのか、
 どんなに力を入れても、びくともしなかった。


 やがて、抵抗できないと知った男子たちが、嫌らしい笑みを浮かべた。



 意味を理解したくない。



 しかし、無理矢理に理解させられてしまう。



「どうせ叱られるんだ。
 なら、ヤれるところまでヤっておくべきだろう?」


「……死にさらせっ!」



 抵抗するために上げた声は、
 悲鳴によく似ていた。