てとてとてと

 しかし、今回は自分達ではないのだ。

 ましてや女子となると。


「どんな事をやらかしたんだ?」

「告白されて振ったんだって」


 女子の情報網は恐ろしい。

 少し気になって聞いてみただけなのだが、もうそんな話が伝わっているのか。


「ちなみに、その後放課後に、再度告白したが、また振られたようだ」


 弘瀬の情報網はさらに恐ろしい。

 茉莉も知らなかった、と驚いている。

 しかし、日に二回も告白するだなんて、その人物は何を考えているのだろう。

 普通はほとぼりを醒めるまで待つか、諦めるものだ。

 そうしなかったのは、よほど自分に自信があったのだろう。

 断られるはずなんてない。
 あれは何かの間違いだったんだ。

 そんな、絵に描いたような自己陶酔に近い思考。

 まずそんな人間はいないだろうと思っていたが、事実は小説より奇なりとは、よく言ったものだ。


「それで、あまりにしつこいので、つい手を出してしまったようだ」

 ふと、何かを思い出しかけた。

 考えるよりも早く、口が勝手に動いて質問をする。

「平手?」

「一本背負い」


 つい、で出せる技だろうか。
 しかも放り投げたそうだ。

 見た目によらず過激だなあ。

 いや、思い返すとそうでもない。

 初めての時は、平手だった。

 口より先に手が出る、あるいは理解していても体が自制できない。

 なるほど、どこかで聞いたような話である。
 もしも、それが根っからの性分であるとするならば。


「それはまた、難儀だなあ」


 手札を開けた。

 役はエースの、フォーカード。

 引き入れたカードは、ハートのエースだった。