てとてとてと

 その具体例が、吾妻幸介の排斥。

 入学当初から半年は、よくあるいじめだった。

 教科書を隠し、
 上履きを捨て、
 机に傷を付け、
 登校拒否を起こしたくなるようないじめのオンパレード。

 しかし、当人はまったく気にせず、まるでいじめなんてありませんと言わんかのように、いつも通り過ごしていたとか。

 故に、現在に至る。

 遠回しな排斥から、物理的な排除へ。


 ――ドタドタドタドタ。


 いたぞ、吾妻だ!

 パンを潰せ、飲み物を奪え、むしろ身ぐるみ剥いじまえ!

 親衛隊の名の下に、貴様を粛正する!


「本当に、あいつのことになると目の色が変わるな」


 騒音を引きつれて教室に飛び込んできた、話題の中心人物。

 あからさまに嫌悪を見せる田沢とその取り巻き。

 教室の空気も、ピンと張り詰めていた。

 そんなことも気にせず、
 窓の外に身を投じる逃亡者。ここは三階だ。

 ベランダなんてない、
 窓の淵に捕まりながら、
 隣のクラスまでクモのように渡っていく。


「いたか?!」

「だめだ、いないぞ」

「おまえら、吾妻はどこだ?!」


 怒りの矛先をクラス中に向ける親衛隊。


「奴なら四組に逃げましたよ」


 と、情報を売る田沢。

 ろくに確認もせず、一斉に隣のクラスへ向かう。

 そして聞こえてくる騒音。

 二人の間で衝突があると、いつもこんな騒動が起こるようだ。