てとてとてと

 白熱した球技大会の翌日から、また余所行きの仮面を被った。

 この年代や小学校の頃だと、外国人だからという理由でよく差別される。

 泣き寝入りはしたくないが、揉めると面倒なので極力本音を出さないようにした。

 優等生な口調で、粗野な動きはしないで、波風立たないように過ごしてきた。

 おかげで他人とぶつかることは減ったのだが、今はその仮面が重くて仕方ない。

 望んでもいないのにやってくる生徒、生徒、生徒。

 他愛のないお喋りなら構わないが、まるで見せ物のように人が寄ってくる。

 いくら被ることになれているとはいえ、やはり疲労は溜まるのだ。


「まあ、はやく友達を増やすんだね」


 本音で語れる相手を探せ、そう言っているのだろう。
 隣の生徒は、けけけ、と意地悪く笑った。

 むっとしたあたしは、反射的に椅子の脚を蹴り飛ばした。


「うわっ?」


 ガタン、と大きな音を立て体勢が崩れた。


 なにをする、と非難がましい目で見られる。
 だが、それより先生に怒られるほうが先だった。


「居眠りか? 吾妻」


 ちなみに、担任の数学の時間。

 いいわけは無駄か、とため息を吐くと。


「ゴリラに起こされる夢を見ました」


 そう言って廊下に消えた。

 あいつ、いつか後悔させてやる。



 立ち疲れた。


 四時間目の授業が始まるなり、そう言って立たされ坊主は睡眠学習の準備を始めた。

 ちなみにいまは理科の時間。

 数学の時間ほどではないが、それなりに授業中の注意が甘い時間だ。

 しかし、それはできないやつは見捨てる、と言っているようなもの。


「あんた、赤点とるわよ?」

「平均点以下はあんまり取ったことがないなあ」


 腕組をしながら答える。
 とても嘘臭いのだが、授業態度はそれほど悪くないのだ。

 休み時間やホームルームはよく眠っているくせに、授業中の居眠りはあまりない。

 お喋りはしょっちゅうだけど、あたしのようにばれないやり方をしている。

 それだけのことで優秀かどうかなんて決められないのだが。