てとてとてと

 大将は顔面でも当たり判定が有効になるため、気を失った大将を保健室に運んで、敗北した。

 球技大会の閉会式では、氷を頭に当て顔に青あざを作ったクラスメイトがいた。


「……なんで避けなかったのよ」


 気を失った大将に、聞こえない呟きを洩らした。

 それを代わりに答えたのは、浅川と茉莉だった。


「あそこで避けたら、お前の顔に当たっていただろう?」


 確かに、あたしたちは直線上にいた。

 でも、だからって受け止めるだろうか。


「こーすけは何だかんだで優しいから。女の子を危ない目に遭わせたくなかったんだよ」


 そんなの余計なお節介だ。

 第一避けられたかもしれないし、大将が当たって負けてしまっては意味がないのに。

 いくらでも文句は言えた。

 だけど苦笑いを浮かべながら、

 仕方がないなあ、と彼を運ぶ三人を見て、

 何も言えなくなった。


「……お節介ね」


 そんな、苦し紛れな一言以外に。

 球技大会が終わってしばらくし、あたしの環境は一変していた。

 体育新聞という、球技大会と体育祭の内容をまとめ、学年毎の掲示板に新聞部が発行する新聞がある。

 その一面を締めるのは、最優秀選手の生徒会長と、なんとあたしだった。

 期待の転校生現わる!
 水星の如き勢いは体育祭を嵐に変える!?

 一面を飾る写真は、生徒会長と背中を合わせていたあたしだった。

 もちろんこんな写真は知らない。

 しかもオーラまで出して、コラージュしすぎだ。

 だが生徒たちには大変評判がよく、転校初日のように生徒に囲まれる日が続いた。


「ああ、もう……なんでこんなことに」

「人気者はつらいね」


 席が隣の男子は、まるで他人事だった。

 いや、事実その通りなのだが、傍観者な口調が腹立たしい。

 ちなみに、今は授業中だ。

 教科書は既に自分の物があったが、以前と変わらず授業中に小声でやりとりをしていた。

 もちろん視線は黒板を見ている。

 先生に注意されるような、間抜けな真似はしない。