「とにかく二人を起こして早く出発しましょう」


エセルの言葉にサスティンはうなづいた。


フェリアとレオルはお互い苦しそうな顔をしていた。


サスティンがレオルを起こすと、レオルはくやしそうな顔をしてつぶやく。


「母さん、アイナ…」


サスティンはこんなに弱く、寂しそうなレオルを初めて見た。


同じく、フェリアを見たエセルもそう思っていた。


フェリアは頭を抱えてくる苦しそうに何かを考えているように見えた。


エセルとサスティンは二人が落ち着いてから出発することにした。


四人が木の周りに置いてある物をかたづけようとしている時、ふいにフェリアが不安そうにエセルに言った。


「私、自分が記憶を失って城に来たときの夢を見たの」


そう言ったフェリアの目はどこか怯えているように見えた。


「私もだ」


と後ろからレオルが落ち着いた声で言った。そして続ける。


「昔の夢を見た」


エセルは考えた。

四人共、過去にあった夢を見ている。


しかも一番つらい時の夢を。


これはただの偶然なのかそれとも何か意味があるのだろうか。


考えながらエセルは辺りを見渡した。


ふとエセルはある物に目を止まった。


そしてエセルはつぶやいた。


「"記憶を追う事は真実を知ると同じ事"」