しかし今、自分が変われたのはエセルやフェリアのおかげだ。


暗闇にいた自分を助け出してくれた。そう思った。


―――しかし少年の心が満たされる事はない。

生きているかさえも分からない姉がなぜいなくなったかを知るまでは。

しかし少年がそれを知るのはもう少し先の話――――






「サスティン」


隣で声がした。

サスティンが振り返る。


エセルが立っていた。心配そうな面もちでこちらを見ている。


「起きてからずっとうつむいてたけど大丈夫なの?」


不安そうな顔をしているエセルを見てサスティンは気が安らぐような声がした。


自分の事を心配してくれる人がいる。


ただそれだけで嬉しいのだ。


そう思うと姉の事など気にしないように思えた。


サスティンが少し微笑んで言う。


「少し昔の夢を見ていただけだ。
大丈夫」


それを聞いたエセルは「そう…」と安心してほっとしたような声をもらした。


そして何か思い出したように言う。


「そう言えば私も昔の夢を見たの」


「そうか…」


サスティンが考えながら言った。


エセルがふいに辺りを見渡す。


フェリアとレオルはまだ寝ていた。