その老人は少女に問いかけた。 「君はどこから来たんじゃ?名前は?」 その質問の答えを彼女が一番知りたかった。 少女は「分からない…」とだけ答えておいた。 それを聞くとその老人は困ったように言った。 「そうか。記憶を失っているんじゃな。何かほかに思い出せることはあるかの?」 少女はうつむいてしばらくすると思い出したかのように前を向いた。 「私の名前は……ル――」