「でもなぜホルストなんかを?あいつは裏の世界で有名だった者と聞いているのですが」


アイリスが疑問そうに言う。


どうしよう。


言った方がいいのだろうか……


エセルは迷った。


するとそんなエセルを見たアイリスは優しく笑いながら言った。


「いいですよ。少し気になっただけですので。私は先を急がなければいけないので……」


そう言って立ち去ろうとしているアイリスにエセルは少し大きな声で言う。


「もう行かれるんですか?こんな夜遅くに」


それを聞くとアイリスはゆっくりと振り返った。


そして何か知っているように謎めいたような笑みを見せた。


「ええ、でも大丈夫ですよ。おそらくまたお会いすると思います。あなた方は私に会いに来るはずですから」


「え?」


エセルは訳が分からないでいる内にアイリスはそそくさと行ってしまった。