エセルはそんなアイリスに警戒しながらもある事を聞いてみる事にした。


いくら怪しいにしろ、誰かに聞かないと何も始まらない。


エセルは思い切って、「あの」と声をもらすと続けた。


「ホルストという人を知りませんか?」


「知ってますよ」


あまりの即答だったため、エセルは驚いた。


それにその時だけ、アイリスの口調が違ったのだ。


凄みのある声だった……


しかしすぐににこっと笑うと言った。


「といってもあまりよく知らないのですけど。私が聞いた話では手に大きな傷のある男だというくらいです。なんでも年をとらないすごい男だとか」


ホルストだ!


エセルは思った。


これで一つ手掛かりが見つかった。