しかし既にその体は老いていた。


白髪が一際目立つ。


そしてきれいな顔立ちだったその顔にはすでに深いしわが刻まれている。


イヴはエセル達三人を見つめた。


「どうか奴を……ホルストを倒して下さい。サイラ様の気持ちを利用し、アイラ様を傷つけた奴を私は許さない」


「でも五百年前の人物なのでしょう?生きてるはずが……」


フェリアは不安そうに声をあげた。


「いえ、奴は生きているはずです。黒魔法を使えるのですから。


それに奴は頭が良い。今も王の座を狙っているはずだ。じっくり時間をかけながら―――」


エセルはごくりとつばを飲み込んだ。


そんな奴の存在も知らずに自分たちは生きていたのだと思うとぞっとする。


「そろそろ時間だ。私は天候魔法を使う魔導士です。森にかけてある魔法は私が死ぬと自動的に解除されるでしょう。では……」


イヴの体が光りだした。


イヴは安心したように目を閉じようとした。


その時、エセルが一歩前に出た。


「あの!アイラ様はまだ生きておられるような気がします」