一方エセルは持っていた鞄から"それ"を取り出すといつでも使えるように握りしめた。 あとは猪が攻撃を受けて、うろめいている隙にこれを投げればいい。 「レオル!奴にもう一撃食らわして」 「ああ」レオルははあはあと息を吸うのもやっとの中、答えた。 レオルの体も限界に近づいていたのだ。 エセルは祈るように猪が現れるのを待った。 しかし一向に猪が姿を見せる気配はない。 そしてごくりとエセルがつばを飲み込んだその時だった。