エセルは恐る恐る近づいた。


そして遠慮がちに手で水をすくい、ごくりと飲んだ。


普通の水とは違い、少し濃いような味だ。


疲れていたエセルはその水をごくごくと飲んだ。


もう飲めないと思った頃にはすっかり元気になっていた。


エセルは思った。


アイラがここに自分を連れてきたのはこれを見せる為だったのではないか、と。


だとすればこれが聖水なのかもしれない。


淡い期待を抱きながらエセルは持っていたビンを取り出した。


ノザにもらった聖水を入れるためのビンだ。


ビンのふたを開けるとキュポンというコルクがのく音が響いた。


エセルはそのままビンを小さな泉に突っ込んだ。


水が音をしながらビンに入っていく。


満タンになると泉から取り出し、コルクを蓋に突っ込んだ。


その瞬間、木が倒れる凄まじい音が洞窟の外から聞こえてきた。


そして猪の怒り狂う雄叫びが……