エセルもまた微笑む。
するとレオルが前に向き直ると少し遠くを見るように言った。
「シャインも……あいつもエセルのように笑えるんだよな」
―――寂しそうな声だった。
エセルが訳が分からずレオルを見る。
レオルは一度、下を向くとまた前を向いて静かに続けた。
「シャインがあそこに来た時からずっと私はあいつを見てきた。まあ幼なじみっていうやつなんだろうな。あいつはまだ小さいのに
全然笑わなくて……でも屋敷にいるうちにだんだん笑うようになってきた。私と父さんにだけだから。それでも最後にエセルに笑ったあの顔は今までで一番なんだろうな」
レオルはそう言うとエセルを見て切なそうに笑った。
驚いた。
屋敷にいたレオルとは印象が全然違っていたのだ。



