三人に重たい空気が漂う。


そんな中、沈黙を遮ろうとするかのように猪の雄叫びが森に響いた。


三人ははっとして辺りを見渡したが、この濃霧の中、見えるはずがない。


しかし雄叫びはかなり遠くの方向から聞こえてきたため、そうたいして危険を感じることはなかった。


しかしそう思ったのもつかの間で、フェリアが何かに気づき、「あっ」と声をもらした。


「私たち崖から遠ざかってるわ。木を追っている内にいつの間にか距離が聞いてしまったのね、きっと……」


フェリアの不安そうな声を聞いて、レオルが辺りをぐるぐると見渡した。


頬に一筋の汗が流れた。


このままだと道に迷ってしまう。


しかもどうやらだいぶ森の奥まで入り込んでしまっているようだ。


「くそっ」レオルが木をドンっと叩いた。


そんな中、フェリアが心配と不安が混じった声で「ねぇ」とレオルに言った。


声はこわばり、心無しか震えている。


そしてしばらくすると言った。


「エセルはどこ?」