「澄凪(スミナ)絵本買ってきたよ」


保育園から帰ったあたしは無邪気な笑顔を向け兄の足に抱きつく
そんなあたしの頭を大きな手で優しく撫でてくれる


「わぁーい!湖砥にぃ(コト)だいすき」


湖砥にぃとは十歳離れた兄妹


そんな湖砥にぃはいつも絵本を買ってきてくれたり、読み聞かせしてくれたり

あたしの面倒をいつも見てくれる

…それだけじゃない
幼稚園の送迎も、ご飯を作ってくれるのも


パパはあたしが小さい頃亡くなり、ママは居るが、仕事で帰らない事のほうが多い


だから…

あたしは親の愛情を知らない
お金は置いて行っても
抱きしめてくれるのも、撫でてくれるのも湖砥にぃ

学校に呼び出されても行かない
だからいつも湖砥にぃが来る


あたし達にはそれが普通


これが当たり前