「どうしたの、さよ」

 怪訝そうに私の顔を覗き込む私にそっくりな女の子は決して鏡ではない。ドッペルゲンガーでもない――と言いたい所だが、彼女は私のドッペルゲンガーの様なものだし、彼女から見た私もドッペルゲンガーみたいなものだ。――つまりは彼女は私の双子の姉妹、“墓森ちよ”である。因みに“さよ”というのは私の名前である。申し遅れたが“墓森さよ”が私の名前なのである。

「また破戒僧について考えてるの?」
「うるせえよブスぶちころすぞ」
「てめえ今鏡に向かってブスいったも同然だぞこのやろう」
「いいもん、私ブスだもん。だからちよもブス」
「いやだよ!!! 私は美人でいたいよ!! ブスなんてまっぴらごめんだねッ!」

 念の為言うが、私達は漫才をやってるわけじゃない。