だけど彼と目が合ったのは

実際にはほんの僅かな時間で

彼は教室に
まだ友達が来ていないことを確認したのか

中には入らず
すぐに踵を返して離れていった

彼が廊下を歩くと
自然とみんな道をあけた

それはまるでいつか
歴史の時間にビデオで見た
“モーゼの道”のようだった

北高にもそれが

…などと思いつつも

離れてく彼の背中を見てた