―長い練習が終わった。
まだ萌花待ってるかな?

一緒に帰ろうと誘われたときは
あんなに嬉しかったのに
今じゃ憂鬱にしか感じない。

祥平さんの話し聞かなきゃ
今頃俺は……………。



「雄哉!帰りマック行かねぇ?」


俊司が笑顔で俺に問いかける。
俺の気持ちも知らねーで。

お前は何も悩みないのか?

そう言いたい気持ちをぐっと堪えた。


「や、俺先約あるんだよ」


俺がそう言うと俊司は
ニヤニヤしながら笑った。


「萌花ちゃんか♪」

「ば…声でけぇよ!」


とっさに俊司の口を手で押さえ
周りを見渡すと、運悪く
俺の後ろには祥平さん。


「…今日もお疲れさん」


祥平さんは俺の頭を
いつもみたくポンっとすると
制服に着替え始めた。

……聞かれたよな?
どうしたらいいんだよ。


「聞かれたらまずかった?」


俊司はバツの悪そうな顔で
俺を心配そうに見た。

まずいってもんじゃねぇよ!
一番聞かれたたらまずい相手。

でもそんなこと言ったら
こいつは繊細だからすぐ傷つく。
今だって、泣きそうな顔で
俺を見てるんだから。


「大丈夫だよ。その代わり
今からマック奢れよ!」


そう言うと俊司は一瞬嫌な顔をしたが
了解の返事をしてくれた。


「あ。でも萌花ちゃ…」

「もういいんだよ。」


それだけ言うと俊司は
何も聞いてこなくなった。


俺は萌花を諦める。
どんだけ頑張ったって
祥平さんには勝てない。

尊敬している祥平さんを
差し置いてまで
萌花と付き合うのは嫌だ。


だから…これでよかったんだ。