『それまで、名前は知ってたけど誰かは分からなかった。』


ガーーン!!!!!!


あたしって、全校生徒が知る程の有名人じゃなかったのね……。



逆にそっちの方がショックだわ……。


『中3の始業式にさ、俺憂鬱だったんだ。


元々、友達とか自分の中ではうわべだけだったし、


もしも好きな人がいたら、自然に近寄ってくる。


俺、多分甘く見てたんだ。

人間を。』



あたしだってそうなんだけど。


友達なんてうわべな関係。



青依とか、杏も友達とは思ってない。


まあ、冗談だけど。


『けど、
里衣に笑いかけてもらった時、

考えが変わったんだ。

振り向いてもらいたい。


話しかけたい。

そんな気持ちが芽生えた。


それで、里衣の部屋に行ったらさ、


いきなり青依に飛び蹴りされるし、

そしたら、目が覚めた。』




………色々分かんないけど。



なんとなくあたしに救われたんだ。


あたし、救世主!?


スチャ。


突然、諒太が立ち上がった。


そして、海に向かって、









『里衣が好きだあー!!』



そう叫んだ。


その時、ちょうど花火が上がったのに、



あたしに、ちゃんと届いたよ。



あんたの声。