天使的に☆悪魔的な

中2のある雨の日――


特に何も用事はなくブラブラ帰ろうとした時、



玄関から誰かが走っていく姿が見えた。



どこか見馴れた姿?



『…………輝本?』



里衣、だったんだ。



彼女が暴走して走っているのは目に見えている。



……運が悪かったら大変な事になるぞ。


俺は追い掛けた。


降り続ける雨さえ、気付かずに。



少しして、里衣が倒れた。



驚き、叫ぶ俺。



そして最後に自分の名前を呼んだ里衣に、









そっと、キスをした。



お互いが傷つく行動だとは知っていた。


だけど、あんなに弱った里衣を見たら、


そんな気持ちに負けてしまった。



とりあえずそこから里衣をオンブして帰った。



幸い里衣の部屋には誰もいなく、すぐに里衣をベッドに寝かした。


その時についでに作ったのがオムレツだ。


たまたま里衣のテーブルの上に作り方の本があり、


見よう見まねで作ってみた。


『早く元気になれよ。
南條 智樹』


そんなカードと一緒に。



だから未だにオムレツは作れる。



そしてオムレツを作る度に、



あの甘酸っぱい気持ちと嫌な罪悪感が沸き出る。