私は近くに停めてあった紅夜さんの車に乗った

「あのぉ…」

「最初に言っておくが、俺は怒ってる」

「え?」

怒ってる?

私は紅夜さんの横顔を見てから、下を向いた

車を運転している紅夜さんの顔は、確かに怖かった

「すみません」

「それは何に対して謝った?」

「だって怒ってるって言うから…」

「理由なく謝ったのか?
それじゃ、謝ったとは言えない
俺が怒っている理由がわからないのか?」

「…カラオケに行ったのが男子もいたから…ですか?」

「それもある」

どうしよう…

なんで怒ってるのか

私にはわからない

「本当にわかんねえのかよっ!」

紅夜さんの声が荒くなった

私はびくっと肩を小さくした

「…っと、悪い
つい感情的になると声がでかくなるんだ
俺たちはきちんと話をしたほうがいいと思う
…てか、話をしよう
俺が、きちんと話がしたいんだ
少し時間をくれないか…
家にはちゃんと送り届けるから」

「わかりました」

私は携帯を鞄の中から出すと、お父さんにメールをした