「長瀬さんには、良い噂がなかったから…ちょっと探ってみたの
中学のときに、長瀬さんに泣かされてる子の話は聞いてたから…実態が知りたくて
ちょっと探偵みたいなこと…やっちゃった」

朱音ちゃんが笑顔で肩をすくめた

「そのせいで、俺と愛実が被害に遭ったんだぞ」

紅夜さんが、朱音ちゃんに厳しい視線を送った

「愛実ちゃんには申し訳なかったけど…紅夜兄には別に悪いことしてないよ」

「ああ?」

紅夜さんの眉がぐいっと持ちあがった

「ああ、こわーい!
私、不良って嫌いなの」

朱音ちゃんがわざとらしく声をあげた

「不良?」

私は首をかしげた

「あんた…知らないのかよ!」

圭太さんが私に突っ込んできた

「お前はうるせえよ!
さっさと失せろ」

紅夜さんが、圭太さんを睨んだ

「ひぃ」っと悲鳴をあげると、圭太さんは小走りで友人を駅構内に入って行った

「別に俺は不良じゃない」

「喧嘩ばっかりしてたくせに」

「朱音!」

紅夜さんが、朱音ちゃんを睨んだ

「はいはい、余計なことは言いませんよーぉだ
先に家に帰ってますので
紅夜兄はどうぞ、ごゆっくり」

朱音ちゃんは舌を出して、べーっと言うと駅に向かった

電車に乗って、帰るつもりなのだろうか?

私は紅夜さんに視線を送った

「家まで送る」

紅夜さんは早口で言うと、私に背を向けて歩き始めた

ちゃんと説明してくれるのかな?

わからないことだらけで、頭が真っ白になりそう