「気軽に紅夜さんに話かけんなよ」

圭太さんが私を睨んだ

「え?」

「お前が気軽に愛実に話しかけんてんじゃねえよ」

紅夜さんがまた圭太さんの頭を叩いた

圭太さんが驚いた顔をして、私を見た

圭太さんの視線を感じると、私は紅夜さんの顔を見た

「状況の把握に困ってるんですけど…」

「誰とカラオケって言ってたっけ?」

紅夜さんの不機嫌な声が私に向いた

「朱音ちゃんたちと…カラオケ…」

「『たち』って?」

私は圭太さんの顔を見た

「ふうん」

だから…紅夜さんの『ふうん』ってなんか怖いんだけど

「紅夜兄! 遅いよ」

カラオケから出てきた朱音ちゃんが、頬をふくらませて怒っていた

「遅い? お前がメールすんのが遅いんだろうが」

「私は場所が分かり次第、メールしたよ!
もう間に合わないかと思って冷や冷やしたじゃないの」

朱音ちゃん?

どういうこと?

私は朱音ちゃんの顔を見つめた