どうして怒るの?

「彼氏いないんでしょ?
なんで、断るの?
意味がわかんないんですけど」

「だって…」

「はあ…ちょーつまんねえ
気分わるっ!
写真見て、すぐわかったんだよ
男を知らねえなってな
興味あるだろ? そういうの…俺が教えてやるって言ってんだから」

「え?」

私は圭太さんの腕を振り払おうと、全身をくねらせた

肩に置かれた手が、全然離れない

「あんたみたいのなら、すぐ落ちるって長瀬も言ったのに…」

圭太さんが唾を地面に吐き捨てた

圭太さんの唾が、黒い靴の上に飛んだ

「きったねえな」

「ああ?」

圭太さんが、唾を飛ばした相手の顔を見た

私も顔をあげると、眉間に皺を寄せている紅夜さんが立っていた

「気分が悪いのはこっちのほうなんだよ、くそガキが!」

紅夜さんが圭太さんを睨みつけた

「んだよ、あんた」

圭太さんも負けずに睨む

紅夜さんのほうが身長が15センチは上だった

紅夜さんが、圭太さんを見下ろしていた

「ろくに喧嘩もできないくせに…ばっかじゃねえの?」

紅夜さんがぼそっと口にした

「ああ?」

圭太さんの目がつり上がった