紅夜さんとの電話を終えると、朱音ちゃんはベッドから降りて机にやってきた

「う~ん、好感触だね!」

「え?」

朱音ちゃんは満足そうに頷いている

どうして?

朱音ちゃんは何を考えているの?

「紅夜兄が動揺してたよ?
あの女の好きで、俺様な紅夜兄が…愛実ちゃんが他の男に会うってわかっただけで…あんなに怒るなんて…」

朱音ちゃんはにっこりと微笑んだ

「そうかな?」

そうは思わないけど……

紅夜さんが苛々する理由はもっと違うところにあるんじゃないかな?って思う

もしかして…綾さんと何かあったのかな?

朱音ちゃんの携帯が鳴った

今度はメールみたい

朱音ちゃんは、画面を眺めた

「え…あ、私も家に帰ることになっちゃった…」

朱音ちゃんが私に携帯の画面を見せてきた

『タイトル:今週末はお前も家に帰れ!

俺が連れて行ってやろう』

朱音ちゃんがため息をついた

紅夜さんからメールを消すと、すごく嫌そうな顔をしていた

「朱音ちゃんって…家が嫌い?」

「うん、嫌い
…私の居場所がないから
今のお義母さんは、一番上のお姉ちゃんの同級生なんだ
だから居心地が悪くって
だから紅夜兄がいるときしか、家に帰らないって決めてるんだ」

「どうして、紅夜さん?」

「紅夜兄がいると、いろいろと守ってもらえるから」

寂しそうに朱音ちゃんが笑った