朱音ちゃんと同室になれて、良かった!

紅夜さんのアドレスを知れたんだもん

今、この携帯の中に紅夜さんの携帯の番号とアドレスが入ってる

私は赤い携帯を胸の前でぎゅっと握りしめた

『愛実ちゃん、俺…年下と真面目な女って嫌いなんだよね
同い年か年上…んで軽~く遊べる女が好きなんだ
だからこの携帯のアドレスは教えられないよ
重い想いは欲しくない』

…って一年前に言われてフラれた

きっと紅夜さんは覚えてないと思う

私の一方的な感情だったから

告白された数多くの女性たちの中に埋もれていった一人だと思う

お姉ちゃんと抱き合う男を見て、好きになるなんておかしいと感じたこともある

きっと男性を知らないから

勘違いしたんだって思ったよ

何度もそう思おうと、心に言いきかせた時もあった

でもお姉ちゃんが紅夜さんを連れてくるたびに、心臓がドキドキした

土日に家に泊まりにくる紅夜さんを見かけるたびに、苦しかった

お姉ちゃんは理解している

紅夜さんとは遊びの恋愛ごっこだって

割り切っているから、抱きあえる

紅夜さんに触れてもらえる

あのときの私は本気が良かった

それを紅夜さんは知っていた

だから何も教えてくれなかった

声をかけてもにっこりと作り笑いを向けるだけ

告白しても……振り向いてもくれなかった

目を合わせてくれなかった