「新しいのを買いに行かないとだな」

紅夜さんは別にショックを受けている様子はない

「あの…」

「バックアップなんかしてねえって言っただろ!
別にまた聞きゃあいいだろ? 大学に行けば、データに入ってるやつらなんかすぐにつかまる」

紅夜さんは『早く寝ろ』と言わんばかりに私の顔を見てきた

「とりあえず、こっちの携帯のデータを赤外線するから、携帯をよこせ」

私は自分の携帯を、紅夜さんに差し出した

赤い携帯を手にした紅夜さんは、私の携帯に白いの携帯のデータを送ってくれた

「いいんですか?」

「あ?」

「だって…家族だけって」

「なんでいちいち気にしてんだよ
俺がいいから、送ってるんだろうが」

「そうですけど…」

私に携帯を返してくれる

他の女性は知らない紅夜さんのアドレスが、この携帯の中に入っている

いいの?

本当にいいんですか?

私に教えて…

勘違いしちゃうじゃないですか

綾さんが好きなのに、もしかしたら…って期待しちゃうじゃないですか