「旅館、予約がとれたから小旅行といきますか!」

明るい声で紅夜さんが言った

また作り笑顔だった

声も、異様に明るい

壁がある感じがする

私には踏み込むなってこと?

それとも偽りの恋愛ごっこ?

私が年下だから?

気にしない、気にしない

気にしたら…たぶん、紅夜さんとは一緒にいられなくなる

私はほほ笑むと、こくんと頷いた

「お金…どうしたらいいでしょう
割り勘でいいですか?」

「いらないよ
年下の女から貰うほど、極悪非道な男じゃない」

「払います」

「あんたの姉ちゃんからも貰ってないんだ
妹だけ割り勘にはできねえよ」

「…そうですか」

お姉ちゃんのこと、覚えてくれてるんだ