「遅くなってごめんね」

助手席に座った私に、紅夜さんがにっこりとほほ笑んだ

また作り笑顔だ……

車の中は、女性の香水の匂いで満ちていた

さっきまで乗っていた証拠だ

ホテルで過ごした女性を送ってから、私を迎えに来たのかな?

「いえ…大丈夫です」

「…だと思った」

紅夜さんがぼそっと呟く

私は学生鞄を腿の上に置くと、シートベルトをつけた

「鞄、後ろに置きなよ」

紅夜さんが私の鞄を掴むと、後部座席に置いてくれた





首筋にキスマークだ

見えるだけで4箇所

真新しい感じがする


さっきまで会ってた女性がつけたのかな?


私には関係ない…けど