最初から相手にされず、ただ作り笑いだけで去られるよりマシ

すっぽかされても

時間に来てくれなくても

私は平気だよ

紅夜さんの迷惑にならないようにひっそりと愛を分けてもらえれば、それでいいから

「え? まだ紅夜兄、来てないの?」

教室の扉が開くと、朱音ちゃんの驚いた声がした

私は振り返ると、朱音ちゃんに微笑んだ

「うん、まだ…みたい」

私は携帯を確認する

着信の形跡は全くない

「ちょっと待ってて」

朱音ちゃんは携帯を出すと、どこかに電話する

たぶん、紅夜さんの携帯だと思う

すぐに女性のアナウンスが流れてくるのが聞こえた

…そっか
電源、切ってるんだ

たとえ私が電話をしても、メールしても紅夜さんは見てないんだ

「んもうっ!」

朱音ちゃんはまたどこかに電話する

今度は、ちゃんと呼び出し音が聞こえた

次は誰に連絡しているの?