「だからぁ…エッチ、やった?」

「やってないよ」

「ええー?」

朱音ちゃんが、不満そうに大きな声をあげた

「どうして? 病院から帰ってから、やろうと思えばできたじゃん」

「え?」

「てっきり、ヤッたと思ったんだけどなあ」

朱音ちゃんは、肩をがっくりと落とすと机に顔を伏せた

「ヤッてないのぉ?」

「うん、だってそういう雰囲気にならなかったもん」

「なるでしょー、恋人同士なんだから」

そう言われても…あの日は夕食を食べて、別々にシャワーを浴びて…

紅夜さんが浴びて出てくるの待ちながら、私、寝ちゃったんだっけ

気がついたら、朝で

紅夜さん、ぐっすり寝てたから、起こさないようにして朝食を作って

そのあとは、外出して…買い物して、

紅夜さん、全然料理しないって言うから

作り置き出来る料理を作って、冷凍保存もして、家で食事できるように準備してたら

もう夕方で、寮まで送ってもらってきたんだよね

だから、そういう雰囲気じゃなかったよ

「再来週かな?」

私は肩をすくめて、笑った

「今週は?」

「無理だよ、家に帰らないと」

「うーむ、お兄ちゃんって意外と奥手なんだねえ
基本が真面目だから、いけないんだな
いろいろと考えすぎるタイプだし…」

朱音ちゃんは、こくこくと頷きながら勝手に考察をしていた