私が、振り替えると、紅夜さんがにぃっと白い歯を見せて笑った

「んじゃ、綾の様子を見てくるから」

紅夜さんが一歩前に踏み出した

「うん、廊下で待ってる」

私は横を通り過ぎる紅夜さんに向って、口を開いた

「あまり遅いと、私が愛実ちゃんを連れて帰っちゃうから」

「おいっ!」

紅夜さんが、病室のドアの前で振り返った

「だって、私、待つの嫌いだもん」

朱音ちゃんは、肩をすくめるとにやっと笑った

すごい…紅夜さんにたいして強気な発言をしているよ

さすが、紅夜さんの妹、朱音ちゃん!

「わかってるよ
朱音も寮にちゃんと寮に送るから、勝手に帰るなよ」

「うん
じゃあ、今日は愛実ちゃんと一緒に寮に帰る」

「はあっ?
愛実は俺とアパートに帰るんだよ」

「このエロ男!」

朱音ちゃんが満面の笑顔を見せた

「うるせえなあ」

半分怒鳴るように、紅夜さんが言う

ちょっと低い声…整った顔、すらりと上に伸びる長身の体

紅夜さんって格好いいなあ

私が、紅夜さんの彼女なんて、やっぱり夢みたいに感じちゃう

紅夜さんは、病室の扉をガラガラっと開けると室内に足を踏み入れた

狭い部屋が見える

ベッドが一つ

白い布団がちらっと見えた

あそこに綾さんが寝てるんだ