「姉貴との電話後から、俺は何度も愛実に触れようとしている
なのに、愛実はそれを避けてるだろ?」

「そ、そうかな?
たまたまタイミングが合ってないだけじゃない?」

私は知らないふりをする

ますます紅夜さんの顔が、怖くなる

怒ってる

私の手首を掴むと、私を引っ張って壁際に追い詰めた

「違うだろ
愛実が俺を避けてる」

そんな真っ直ぐな目で見て、私を追い詰めないでよ

「早く綾さんのところに…」

「言えよ、本心を」

「だって…ほら、綾さんの…」

私は綾さんの病室を指でさそうとすると、紅夜さんが壁を強く叩いた

私の身体は、びくんと跳ねた

「愛実、何か心の中に溜めているんだろ?
だから、俺を避ける
言ってくれ、頼むから……言ってくれよ」

紅夜さんが、苦しそうな表情をしてきた

唇を舐めると、紅夜さんが私にキスをすようとする

私は横を向くと、紅夜さんは『ちっ』と舌を鳴らした

「言ってくれ
我慢されるより、避けられるほうが俺は嫌なんだ」

紅夜さんが私の隣に立って壁に背をつけると、ずるずると下に落ちていく

しゃがんで、頭を抱えると、整えてある髪をぐしゃぐしゃにした