「昼前には帰ってくるつもりだったんだけど、綾に昼食を作ってたら遅くなった」

昼食を作ってあげたの?

私は視線を上げると、紅夜さんの目を見た

「つわりがひどいらしくてさ
話してるときも何度もトイレに吐きに行ってて…なんか、そのまま帰るのも申し訳なく感じて
さっぱりと食べられる梅のおかゆだけ作って帰ってきた」

「うん」

私は頷く

紅夜さんはぽんぽんと私の頭を撫でると、冷蔵庫に足を向けた

「俺らもなんか食おうぜ
外に行く?
それとも…作ってくれる?」

紅夜さんは冷蔵庫の扉を開けると、2リットルのお茶のペットボトルを手にする

扉を開けっ放しのまま、キャップを開けるとそのままごくごくと喉を鳴らして飲み始めた

相当、喉が渇いていたのか…

半分くらい入っていたお茶が、残りわずかになる

ペットボトルの底でゆらゆらとお茶が揺れているのを私は眺めた

紅夜さん、綾さんとどんな話をしてきたんですか?

聞きたいのに、聞けない質問

怖くて、聞けない

「愛実?」

冷蔵庫の扉を閉めた紅夜さんが首を傾げた