紅夜さんが、綾さんへの気持ちを忘れて、新しい恋に向き合える日が来るのかな?

綾さんを見ても、苦しいって思わなくなる日が、いつかは来るのかな?

そのとき、私は今も紅夜さんの隣に立っていられるのかな?

私は、紅夜さんの首の下にある腕を抜こうと身体を動かした

びくっと紅夜さんの身体が反応すると、ぎゅっと強く私を抱きしめてきた

え? なんで?

「どこに行くの?」

寝ていたはずの紅夜さんの瞼が持ち上がって、私を見上げている

「あ…どこにも…喉が渇いたから」

私はしどろもどろに答えた

すごい力で抱きしていて、掴まれている腰が痛い

紅夜さんが今にも泣き出しそうな子供のような瞳で私を見ている

「喉…あ、そっか
何も飲まずに、寝たから」

私よりも先に、紅夜さんが起き上がった

「あ、私が…」

「いいよ、俺がやる」

ぺたぺたと足の裏が、床にひっつく音がした

台所の電気がつくと、紅夜さんが冷蔵庫を開ける

レモンティーを取り出すと、食器にしまったマグカップを出した