豆電球がオレンジ色に光る中、私はそっと瞼を持ち上げた

私の腕の中で、紅夜さんがすやすやと寝息をたてている

私の胸にぴたっと頬をつけて、私の体に絡みつくように両手は私の腰に回されていた

『一人にしないでくれ』

そう言って、紅夜さんは私の温もりを求めた

まるで幼い子供のように、ぎゅっと私に抱きついてベッドの中に潜った

布団に埋まっている紅夜さんの頭を私は見つめた

何のセットもしていない髪は、重力に逆らわずに枕の上で遊んでいる

さらさらで、シャンプーのにおいが私の鼻腔をくすぐる

…何もなかった

今日もエッチはしなかった

抱きしめられたとき、ちょっとは期待したけど…何ごともなく、紅夜さんの背中を擦っているうちに、紅夜さんが深い眠りに落ちてしまった

好きな人…元カノが、母親になるってどんな想いなんだろう

忘れたいのに、家に帰れば彼女がいる

自分の父親と、仲良くしているのを見なければいけない

しかも子どもまで妊娠してしまって

忘れたいのに、忘れられない

一緒にいたいのに、居られなくて…

でも一緒に居たくないのに、一緒に居なくちゃいけない

すごく苦しいに決まってる

行き場のない感情を、紅夜さんは胸の中にどれほど隠してきたのだろう

思わず、私なんかに甘えたくなるような…辛くて悲しい気持ちを、心の中にあとどれくらい詰め込んでいるのだろう