《先生と僕》〜タイムトラベルスイッチ〜

「あっ、そうそう。戴き物のスイカがあったわ。今切ってくるね〜♪」


と、お母さんが冷蔵庫に向かった時、亜由香がひそひそ声で僕に言った。




[ねぇ、さっき、家に帰れない…って言ってたけど、本当に帰らないの?今日はどこで寝泊まりするつもりなの?]







まずいな…そうだった。

こっちの世界では、僕が寝泊まりできる場所はない。




もうちょっとこの世界にいたいけど…ここは一旦帰った方がいいかな?







[あ、えーっと……友達の所に泊まるよ。]







[そっかぁ。泊まる場所があるならよかった。…でも、何があったか知らないけど、早く家にも帰ったほうがいいよ?きっとお母さんたち心配してるよ。]








[うん…。そうだね。ゆっくり考えて、しばらくしたら帰るよ。]






[うん。よかった。]









「は〜い。冷え冷えのスイカおまたせ〜。」





「やったー♪」






「ねぇ、奏人は兄弟いるの?」



「うん。弟が一人。」




「いいなぁ〜!同性の兄弟って楽しそう♪」





「私は一人っ子だから、兄弟・姉妹に憧れちゃうよ〜。」




「一人のほうが親の愛情独り占めできていいじゃ〜ん♪」





「みんな、ないものねだりなのよねぇ〜。ふふふっ。」







それから、僕と亜由香と亜由香のお母さんは、甘〜いスイカをほおばりながら、しばらくたわいのない会話を楽しんだ。