《先生と僕》〜タイムトラベルスイッチ〜

亜由香は、クローゼットから救急箱を取り出しながら





「ないよー。だって私、彼氏いない歴15年だも〜ん。」





「えぇっ!?そんなに可愛いのに!!だってモテるでしょ!?」





思わず本音が口から出てしまった。







亜由香はフフっと笑うと


「ありがとう。うーん…確かに、告られたことは何度かあるなぁ。」



そう言いながら救急箱の消毒液とガーゼで、僕の口元を拭う。





「あら〜。口の中がたくさん切れてるみたいだけど、ここは消毒できないね。」





「いーよ。口の中はすぐ治るよ。」






亜由香は続ける。






「私ね、自分の直感をものすごく信じてるから、『この人!』って人と出会うまで、彼氏作らないんだ〜。」





「そうなんだぁ。」






「だって、どんなにカッコよくても、その人のこと好きじゃないのにつきあったら失礼でしょ?」








「うん…。確かに。」







「なんか、私がB組の○○君とつきあっていた…とか、J組の△△君と今つきあっている…だとか、もう△△君とはHしちゃった…とか勝手な噂が流れてるみたいだけど、そんなの、単なる噂だからね!」






「そ、そうだったんだぁ。」







僕は内心ホッとした。






今、亜由香に彼氏がいないということと、亜由香がまだ誰の物にもなっていないということが嬉しかった。